ゆるりとものづくり

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夢見るおっさんの工作記録

プリント基板を感光基板で自作してみた - 前振り

小学生時代の楽しみといえば本屋さんに行くことでした。あんな本やこんな本、まぁ漫画も多いですが(笑
)色々な本に沢山知らなかった事が書いてあり、それを見ることにワクワクした気がします。
そんな僕ですが、当然ながら小学生の僕にはそうそう欲しい本が買えるわけも無く、主に立ち読みに勤しんでおりました。

毎日毎日立ち読みするものですからお店の人も呆れたのか、「どうせずっと読んでるんだから店番しててね」と言われて留守を任されるほどでした(笑)

でも、年に一度だけ欲しい本を買える時が来るのです。世のガキどもが「金の力」を実感できるだけの多額の金銭を入手できる年に一度のチャンスが。
そうです、「お年玉」というビッグボーナスが得られる瞬間が!


まわりの友達は、おもちゃ屋さんに群がりましたが、僕は本屋に向かいました。おもちゃ屋さんにある商品は、誕生日やクリスマス等で買ってもらえるチャンスがあります。しかし、親にすら理解出来ないような、趣味の本なんかは、金を持っている今しか買えないのです。
普段は欲しがっている僕を見ても、大人のみんなは「まだ早いよ」と言って絶対に買ってはくれなかったものです。


とある正月に、この千載一遇のチャンスを逃さずべく、僕は自宅から比較的遠い駅前の本屋に現金を握りしめてむかいました。そして、「初歩のラジオ」と「ラジオの製作」そして「トランジスタ技術」を入手することに成功したのです。

買った本はそれこそ表表紙から裏表紙まで、全ての字句を読みました。理解できないことも多かったですが、この本を読んでいるという事実に、底知れない快感を覚えたものです。


ほどなくして、この時に買った初歩のラジオという本についていた「特別付録:感光基板プリンタマスク」を使えば、なんだかルーレットゲームみたいなものを作る事が出来ると知り、それを作る事に思いが囚われてしまいました。

(その後、ラジオの製作アマチュア無線の免許を取る動機になったり、BASICマガジンでパソコンへの道を開いてもらいました。トランジスタ技術は記事内容はつまらないものの、分厚すぎる広告ページを延々と楽しみましたw)

この製作を行おうと決心した僕は残ったお年玉をつぎ込んで、必要な電子部品を通信販売で購入したのです。
生まれて初めての「Make:」への挑戦です(笑)

サンハヤトの感光基板、CMOSのタイマーIC、多数のLEDと抵抗。たしか、総額だと結構な金額だったと思います。

届いた時にはワクワクが止まらなくて鼻血が出ました。

でも、そんな小学生に、厳しい現実がのしかかります。感光基板は感光後に現像が必要で、現像液を買わないといけないこと。
マスクが上手く現像された後には、エッチング液で不要な銅板を溶かす必要があること。

つまり、必要なものを「買い忘れ」てたわけです。
この事実に部品を手に入れた僕は衝撃をうけました。だって、雑誌の「必要部品表」にはこれらの(所謂)工具が必要な事は書いてなかったのですから。

よく紙面を見直した結果、部品が揃っていても、さらに3000円程追加投資して、色々買うことがが必要だとわかったのです。
最大の問題は、すでにお年玉を使い切っていたことでした。

現像は諦めて、パターンをマジックでなぞったりしました(今考えると、まったく意味がないんですがw)
なんとか銅を溶かそうと、食酢につけたりしましたw

親にお願いして、近所(それでも自宅から数十kmはなれていました)の無線機器を扱っている電機店に連れて行ってもらい「エッチング液を下さい!」と頼んだりもしました。しかし、返答は「ナニソレ?」でした…

結論としては、買った部品は無駄になり、僕の電子工作は失敗に終わったのでした・・・


そうして、しばらく、そう、30年以上も僕はプリント基板を作る事を忘れて過ごしていたのです。

(前振りが長すぎたので続く)